第2回 竹葉所長のガン闘病記 ~がんと闘う人へ~

 これは江戸川区にある瑞江店の所長である自分・竹葉俊雄が、肺がんと闘った記録である。
 昨年8月に健康診断の再検査で肺にがんが見つかった。でも都内の病院は「精密検査の予約が3週間待ち」で途方にくれていた。このときに担当だった非常勤のN先生から「(常勤の)鴨川市の病院なら2日後に予約が取れる」と言われ、二つ返事で鴨川に行くことを決めた。N先生はこのときのご縁で自分の主治医になったが、この出会いに自分は後で何度も感謝することになる。このときは考えもしなかったことだけど。
 「必ず治して帰ってくるから」。店のスタッフやお世話になっている方々にはそう言ったものの、どうなるかはまだ全然分からなくて不安だらけだった。
 車で病院に向かう道中、8月の高速道路は海にでも行くのかなって家族連れが多くて、何でこんなことになったんだって、涙が止まらなかったよ。高速道路を下りて、海を右手に走ってるとパステルカラーの建物が見えてきた。リゾートホテルかなと思ってたら、そこが目的地の病院だった。駐車場の入口は分かったけど、棟がいくつもあって、どこに行きゃいいんだよって迷子になったね。
 やっと受付を済ませると、さっそく精密検査が始まった。この時点では、「肺がん」ってことだけで、進行具合はまだはっきり分かってなかったんだ。昼前から夕方くらいまで検査を受けた。あんまり次々に検査が来るから、一瞬自分が病気だって忘れそうになったくらいだよ。
 でも夜に病室にいると「もう帰れないかもしれないな」というのが頭をよぎって毎晩泣いちゃったなあ。
 3日後、N先生から「転移はありません」って言われてホッとしたのもつかの間、「胸のリンパが腫れてる。すぐ治療を始めましょう」って。「ステージ3・前期」だった。
いよいよ入院4日目から放射線と抗がん剤の投与が始まった。抗がん剤って、点滴で500mlくらい入れるんだけど、その12時間前から、内臓の保護と、吐き気止めの2種類の点滴をするんだ。そのお陰かドラマでよく見る吐き気はなかったけど、代わりにずっと脱力感とめまいに襲われた。味覚も変わってお米が苦く感じるのが悲しくて、配膳してくれる人に申し訳なかった。
 そんな味覚障害の苦しみから救ってくれたのは……。意外にも、アレとアレだったんだよ。(次号へ続く)            
(文・坂本みゆ)