第6回 [ 最終回 ] 竹葉所長のガン闘病記 ~がんと闘う人へ~

 瑞江店所長の自分・竹葉俊雄が、肺がんと闘った記録も今回で終わり。
 昨年6月の健康診断で再検査になって、8月に告知を受けて始まった闘病生活は、今年の1月末に最後の抗がん剤の投与が終わり、今は定期健診に通ってる。
 これは後から聞いた話だけど、自分の手術は、かなり難しいものだったらしい。本来なら、骨の一部を摘出しなくちゃいけないのを、主治医のN先生が、自分の今後のことを考えてくれて、摘出じゃなく骨を削る処置をしてくれていた。こんなことができる先生は日本に数人しかいないんだって。まさに「スーパードクター」!
 その証拠に、入院前の説明で先生が紙に書いてくれた治療計画表を見ると、8月頭に入院、投薬治療を始めて、10月に手術して……って、そのまんま予定通りだった。先生は見た目はのほほんとしてるし、手術翌日に歩けって言うスパルタだけど、今はひたすら感謝してる。
 N先生は、再検査の時、結果を聞きに行った病院にたまたま出向で来ていて知り合ったから、出会いは偶然。自分にとって幸運だったとしか言いようがない。
 これまで自分は、ちょっと調子が悪くても「病院に行くほどじゃない。大きな病気になんかならない」って、根拠のない自信を持ってた。
 でもホントは、単純に病院に行くのが怖かったり、お金も時間もないからなんて、いろんな言い訳を作ってた。そういう人はきっとたくさんいると思うんだ。
 がんになったのは不運だったけど、不幸じゃなかった。N先生って名医に出会えたし、店の従業員のみんなやお世話になってた人たちの優しさにたくさん気付けた。
 だから今、病気を乗り越えた自分なら、同じように病気で悩んでいる人を勇気づけることができるかもしれないって強く思ってる。
 再発のリスクはあるけど、それは今、健康な皆さんと同じこと。自分はもう病人じゃなくて怪我人だから。
 入院が長引いている人や不安を抱えてる人は今もたくさんいると思う。抗がん剤が辛くて途中で止める人もいるだろうけど、「今より良くなるんだ」って、治療方法を考えてくれてる先生を信じてみて。
 「あの時治療していたら……」なんて後悔が残るようなことにだけはならないでほしいんだ。
文・坂本みゆ