連載記事「神社仏閣巡りの旅 〜トライベルライター河越梨江の旅行手記〜」第87回

今回ご紹介するのは徳島県鳴門市にあります、阿波国一之宮大麻比古(おおあさひこ)神社です。先月ご紹介した霊山寺のすぐ近くにあり、お遍路さんの中には、道中の安全を祈願するために訪れる方もいらっしゃるようですが、旅の覚悟を試されるかのような長い長い参道が有名です。それを抜けると樹齢千年余とされる御神木の大楠が参拝者を迎えてくれます。創建の時期は不明なようですが、ともすると何か話しかけてくれそうなこの巨木を見るだけで、とても古く由緒ある場所だったことは間違いなさそうです。長い年月を地域の方に大切にされてきたであろうことが今でも目にみえるし、実際、第一次世界対戦の時代に捕虜となったドイツ兵とこの地に住んでいた方との関係が良好だったことから、帰国するドイツ兵が感謝のしるしとして架けてくれた”めがね橋とドイツ橋が残っています。


神社の奥の方にあるこの二つの橋を見に行こうと移動して、ウロウロしていたら、地元の方と思しき方が、「池の真ん中にある石にお金が乗ると願いが叶うと言われているので、ぜひぜひ」と笑顔で教えてくださったので、早速チャレンジし、一円玉を四枚投げて、これで最後と思った五枚目が見事石に乗り、「やったー」とガッツポーズまでして喜びました。一緒に参拝していた母は、一円玉を投げて、これでは軽いと思ったらしく十円玉に変えてこちらも見事石に乗り嬉しそうに私を見ていました。とにかく終始気持ちのいい神社で当初の予定よりも長く滞在し楽しさも合わせてありがたい浄化ができました。

阿波国一之宮 大麻比古神社

徳島県鳴門市大麻町坂東広塚十三

JR徳島駅から徳島バス鳴門大麻線乗車「霊山寺前」下車 バス停から徒歩二十分