今年最初にご紹介するのは徳島県鳴門市にあります、高野山真言宗の寺院霊山寺(りょうぜんじ)です。ここは約一三〇〇年前に聖武天皇の勅願で行基が開いた古刹で、四国八十八ヶ所めぐりの第一番札所。霊場を番号順に巡拝する(順打ち)お遍路さんたちにとってスタート地点になります。お遍路は、全てのお寺を巡ることで八十八の煩悩が除かれ、八十八のご利益・功徳が得られると言われています。
誰でも気軽に始めることができるので現在も大変人気な四国巡礼ですが、気分を上げるには、お遍路アイテムを装備するのも楽しみの一つ。霊山寺では、一番札所にふさわしく札所巡りに必要な遍路用具を揃えることができる売店があり、その品揃えに圧倒されます。お遍路さんの衣装や持ち物が揃ったらいよいよ出発。先祖供養や家族の健康祈願、自分探しなど、みなさん旅の目的は違っても、同行二人(どうぎょうににん)、道中いつも弘法大師が共にいて見守ってくれているという言葉はとてもありがたく心強いですね。
今回はお遍路をするための参拝ではありませんでしたが、本堂にある無数の吊り灯籠は、それだけで幻想的な空間をつくり、一瞬にして頭の中の一人おしゃべりを黙らせ、穏やかで静かなところへと心を導いてくれました。お遍路さんの疑似体験の中で、新しく迎える一年が読者の皆様にとって、心穏やかにゆっくりと流れる時間の中で、健康で美しく喜び溢れる体験のみ選択できる一年になるようお参りしてきました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
第一番札所 霊山寺
徳島県鳴門市大麻町坂東塚鼻一二六
■交通
JR高徳線「坂東駅」下車 約八〇〇メートル
徳島バス「霊山寺前」下車すぐ