連載記事「神社仏閣巡りの旅 〜トライベルライター河越梨江の旅行手記〜」第81回

今回ご紹介するのは、北海道函館市にある函館八幡宮(はこだてはちまんぐう)です。社伝によると一四四五年(文安二年)に河野政通(こうのまさみち)が函館に城を築いたとき、八幡宮(はちまんぐう)をお祀りしたのが始まりとされ、そこからおよそ四百年後の一八八〇年(明治十三年)から現在の地に移ったとされています。函館八幡宮のような比較的新しい神社は、私の中でとても興味深く、楽しみに参拝してきました。御祭神は、八幡さまである品陀和気命(ほんだわけのみこと)。人間界にいたときは、第十五代応神(おうじん)天皇と呼ばれていた方で、出世や成功、家運隆昌(かうんりゅうしょう)のご利益があり、大分県の宇佐神宮が総本社です。お父様は日本武(やまとたける)の子である仲哀(ちゅうあい)天皇、お母様は神功(じんぐう)皇后。仁徳天皇は応神天皇の息子さんにあたります。これらは古事記の話ですが、こうやって、現在神として崇拝されている方々の繋がりをみるのも神社巡りが興味深いところです。

神社巡りの中でこの北海道という土地はとても独特です。この地には、アイヌの方々が生活し、その文化の中では人間にとって重要な働きをする全てのものをカムイと呼び、カムイはあらゆるところに存在しいつも我々を見守っていると考えられていました。動物も植物も、火、水、風、山、川など全てがカムイ。本来私たちにとって大切な調和を保つ為の素晴らしい文化です。

函館山の麓にあるこの神社にはカムイが山盛り。その気持ち良さを体感し、どんなに時代が移り変わっても、大切にしなくてはいけないものを見失うことのない自分でいたいと心から誓いました。

函館八幡宮

北海道函館市谷地頭町二番五号

■交通

市電谷地頭終点下車徒歩五分
JR函館駅よりタクシー約七分