“鍬や鎌など区内で使われた農具を展示 稲作の歴史、知って” 「土と暮す-江戸川区の昭和の農業-」 区郷土資料室で3月8日まで開催中
昭和30年代まで江戸川区で盛んに行われていた稲作を中心に、本区の農業の歴史に興味を深めてもらおうと、江戸川区郷土資料室(松島1)では企画展「土と暮す(くらす)―江戸川区の昭和の農業―」を開催しています(3月8日まで。入場無料)。
昭和20~30年頃の江戸川区では、田植えで忙しい農家のために「農繁期保育所」が設けられたほか、昭和31年には収穫量の増大を目指す「水稲多収穫競作共進会」が発足されるなど、稲作が農業の中心でした。しかし、戦後の人口増加や高度経済成長の影響により、農耕地は次第に住宅・商工業地帯へと移行。昭和35年には区面積の約30%だった農地が、昭和50年には11.4%にまで減少しました。区内農家は狭い土地を利用して大きな利益を上げるようになり、小松菜をはじめとする軟弱野菜の生産を活性化させ、新鮮な野菜を都内へ供給することで本区の農業を確立させていきました。
同展示では、「田起こし(2~4月)」、「田植え(5~7月)」、「稲刈り(8~10月)」、「藁仕事(11月~1月)」など稲作の1年間をはじめ、深田での蓮根栽培、小松菜を中心とした軟弱野菜の栽培など、昭和に盛んだった本区の農業について農具やパネルなどで紹介しています。あぜ作りや土堀りなど目的によって使い分けられた「鍬」や、田植え前の田んぼに肥料を踏み込むための「苗代下駄(なわしろげた)」、収穫物によって刃の厚さや形状が異なる「鎌」など、区民から寄贈された農具23点を展示。また、昭和20年代半ばの稲刈りの風景や、野菜の出荷作業など写真も展示しており、当時の様子を感じながら本区の農業の歴史を学ぶことができます。
同展示を担当した学芸員の青木舞花(あおきまいか/25歳)は「現在の江戸川区は小松菜や花卉園芸などが有名ですが、実は昔は稲作が盛んだったことを知ってほしい」と話しています。
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