永久水利施設を活用した“防火用水”が街の災害を防ぎます~隅田川の河川水を使って、500メートルの遠距離送水訓練を実施~
平成29年7月9日(日曜) 午前10時30分~11時30分
区立第五中学校(荒川区町屋1-37-16)から区立藍染公園(荒川区町屋1-34-9)にいたる地域
平成29年7月9日(日曜)、区立第五中学校に整備された「永久水利(河川方式)」を活用した約500メートルの遠距離送水訓練を、荒川警察署、尾久消防署と防災区民組織や区立第五中学校防災部などで実施され、約100名が参加しました。
荒川区の現状と取り組み
荒川区は、区内の約6割が木造住宅密集地域で、首都直下地震が発生した際は複数の火災が発生し、最悪の場合は多くの家屋が焼失すると想定されています(東京都の発表)。また、上水道の約60%が断水する恐れがあり、消火用水の確保が難しくなることが予想されるなど、災害時における火災対策は緊急の課題です。
永久水利施設について
そのため、区では上水道が断水した場合でも枯渇することのない、河川水や地下水を利用して消火活動を継続する仕組みである「永久水利」施設の整備を進めています。平成26年3月には、荒川区が隅田川に接している立地条件を活かし、あらかわ遊園(荒川区西尾久6-35-11)内にある既存のポンプを増強し、非常電源設備を整備した永久水利施設が完成し、その後、河川に面していない地域でも取水することができる深井戸方式の永久水利施設の整備も進めてきました。今回の第五中学校の永久水利施設で6番目になります。
【区内の永久水利施設】
・荒川遊園(河川水)、都立尾久の原公園(河川水)、区立荒川公園(深井戸)、アクロシティ―(河川水)、区立日暮里公園(深井戸)、区立第五中学校(河川水)、区立赤土小学校(深井戸:整備中)
当日の様子
30度を越える真夏の炎天下の中、消防署や警察署などの協力機関、消防団や地元町会などの防災区民組織、荒川区立第五中学校の中学校防災部など、約100名が参加し、永久水利施設を活用した市街地防災訓練が開催されました。
午前10時30分からは、西川太一郎(にしかわ・たいいちろう)荒川区長が冒頭、福岡県、大分県における大雨による被災者、被災地域に対してお見舞いの言葉を述べた後、設備概要と訓練内容の説明が行われました。
午前10時45分から行われた訓練では、「首都直下型地震の発生により、町屋一丁目でも複数の火災が発生した。このため、防火貯水槽の水が不足してきたため、消防署は消防団に対して永久水利施設を活用の要請をした」という想定で始められ、町会の人達など地域の防災区民組織を中心に、第五中学校脇に設置された河川水の永久水利施設を活用し、リレー方式による約500mの遠距離送水訓練が行われました。
永久水利施設は隅田川の堤防の内側まで吸水用の配管を通しており、これを活用し、B級ポンプにより隅田川から吸水した河川水を、区立藍染公園まで、ホース積載リヤカーや消防可搬ポンプ(D級ポンプ)を使用し、2か所の防火水槽を中継しながら送水しました。
途中、送水ホースが道路を横断するため防護板(ホースブリッジ)を設置、自動車の通行を確保しつつ送水ホースの延伸を行いました。区立藍染公園の防火水槽までは、途中1カ所の水槽と2か所でのポンプによる加圧が行われました。
暑さの中、地域の防災区民組織の方々は、リヤカーを引っ張りながら次々とホースを落としていき、てきぱきと訓練をこなしていきました。
最後に、消防団や第五中学校防災部、地域町会の防災組織の方々による一斉放水で訓練を終了しました。
訓練に参加した、第五中学校防災部の小西紀枝(こにし・きえ)さん(中学3年生)は「この訓練で防災ポンプの使い方を教えてもらいましたが、災害時には町会の人達と協力して行えるようにしたいです。」と話してくれました。