連載記事「神社仏閣巡りの旅 〜トライベルライター河越梨江の旅行手記〜」第85回

今回はちょっと変化球ですが、日本橋の宝田恵比寿神社と椙森神社周辺で開催される「日本橋べったら市」についてご紹介いたします。毎年十月一九日、二十日に開催されるこのお祭りは、江戸時代から続く伝統行事で、東京の秋の風物詩。本来、恵比寿講(さまざまな福をもたらしてくれる恵比寿様を祀り、大切な人たちを招いて祝う行事)のための道具やお供物などを売る市だったようですが、そこで売られていたべったら漬けが人気になり、べったら市と呼ばれるようになりました。
毎年楽しみにしているという友人に誘ってもらって、初めて行ってきたのですが、オフィスビルが立ち並ぶ通りを一本入ると、そこは別世界。びっくりするくらいの人人人で、数えきれなくらいのべったら漬け屋さんの露店が並びます。友人によると毎年開催日が決まっているので、平日開催の年だと、この界隈にお勤めのスーツ姿の方々も大勢いらっしゃるとのこと。べったら漬けだけではなく、色々な屋台もあるので、その方たちにとっても年に一度のお楽しみなのかもしれません。


むき出しのままエネルギッシュに店先に並ぶべったら漬けは、試食品もあります。この時だけの特別品として皮付きのものも並びますので、お店ごとにちょっとずつ違う味付けを堪能しながら、好みの一品を見つけるのも楽しそうです。
地元の人たちに愛されている宝町恵比寿神社と椙森神社は歩いて五分ほどの距離にあり、当日は車両通行止めになります。この二日間は大勢の人で賑わっていますので、来年参加される時は、くれぐれも足元にご注意くださいね。江戸を感じるこんな魅力的なお祭りがあることを知りませんでしたが、知ったからには来年からもぜひ参加したいです。

日本橋べったら市

開催場所宝町恵比寿神社周辺/東京都中央区日本橋本町三丁目十の十一