連載記事「神社仏閣巡りの旅 〜トライベルライター河越梨江の旅行手記〜」第79回

今回ご紹介するのは長野県松本市にある四柱(よはしら)神社です。明治七年に神道中教院が設立され、院内に四柱をお祀りしたのが始まりとされるわりと新しい神社で、天の中央で産霊神の働きを統一する・天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、宇宙創造の根元の神で実を結び調和させる・高皇産霊神(たかみむすびのかみ)と、神皇産霊神(かみむすびのかみ)、そして、この造化の三神の御神意を地上に顕現される天照大神(あまてらすおおみかみ)の四柱であることから、お祀りされている神様のご利益が、すべての願いごとを叶える【願いごとむすびの神】として崇拝されています。明治時代にこの四神を奉斎したことは、江戸から明治に代わり、これから始まる新しい時代を生きる松本という土地と人々にとって、希望に溢れ安心して暮らせる毎日であるようにという先人の思いが伺えます。

今回、九州から遊びに来ている両親が善光寺に行きたいというので、二泊三日の信濃の旅を計画し、善光寺と諏訪大社四社、戸隠神社五社(奥宮は、冬季期間で随神門まで参拝可能)をめぐり歴史と神社仏閣を存分に味わいました。旅の最終日の朝参拝した四柱神社では、御祈祷のための太鼓のリズムと澄んだ空気が心地よく、自分自身の在り方を見つめ直す良い時間になりました。また今回の旅では、雪を見慣れない両親共々、車窓から見える北アルプスの美しさにいちいち歓声をあげ、それは、その神々しい姿に心躍るときめきと静かな感動とが混在する不思議な感覚こそがギフトだと思えるほどの貴重な体験でした。これからも参拝に付随するさまざまな体験の中にあるご利益には、いつも気づける自分でいたいです。


四柱神社

長野県松本市大手三の三の二〇
JR松本駅から徒歩一〇分