連載記事「神社仏閣巡りの旅 〜トライベルライター河越理恵の旅行手記〜」第57回



今回は、熊野三山(熊野本宮大社・熊野那智大社・熊野速玉大社)の奥の宮として鎮座する玉置神社をご紹介します。玉置神社は、和歌山県と奈良県の中間地点、奈良県吉野郡都津川村にあり、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する一つで、日本最古の神社です。呼ばれた人しか参拝できない」とか、「知る人ぞ知るパワースポット」などと言われていますが、そう言いたくもなるくらい、とても行きにくい場所にあります。
麓の十津川温泉郷から、つづら折の険しい参道を三十分ほど上ると標高一〇七六メートルの玉置山の頂上場付近にある駐車場に到着。そこから歩いて十五分ほどでようやく本殿へ。境内には樹齢推定3000年と言われる御神木の神代杉を初め、巨木が群生していて、その世界に足を踏み入れたら、この大自然そのままが「神」であると認識できます。【神の存在】実際には、(姿が見えない)(声が聞こえない)とかではなく、目の前のリアルな景色には、それほどの威力があり、古からこの荘厳なロケーションを見つけて大切にしてきた先人たちの知恵と行動力に感心するばかりです。とはいえこの場所を人間が見つけたとは到底思えないので、八咫烏という神話性の高い存在も、もしかして実在したのではと思えるほど。もちろん御祭神や由緒も存在しますが、全て人間が後から付け足したようなものという印象で、そこにフォーカスするより、参拝者それぞれが、その時感じたことの方がなん百倍も重要だと再認識できます。圧倒的な手付かずの大自然を前に、ただ、自分の真ん中と向き合うことで見えてくるもの・・・。玉置神社はそのリアルに出会える不思議な神社です。

玉置神社

奈良県吉野郡十津川村玉置川一