第4回 竹葉所長のガン闘病記 ~がんと闘う人へ~

 これは瑞江店所長の自分・竹葉俊雄が、肺がんと闘った記録である。
 8月に告知を受けて治療を始めて、幸運にも9月に抗がん剤の効果が出た。がん細胞が小さくなったからいよいよ手術って言われたけど、少し期間を空けなきゃいけなくて、千葉県鴨川市の病院から一時退院して久し振りの瑞江店で電話番をした。配達に行く体力はなかったけど、店にいるだけで日常が戻った気がして嬉しかったな。
「10月17日に手術をします」。
 主治医のN先生にそう言われてからは毎晩手術の夢を見て、暑さのせいだけじゃない寝苦しい夜が続いてた。
 病院に戻ったらナースステーションから遠い部屋で割と放っておかれて、むしろ「俺、助かるかも」って思い始めてた。同じ部屋の患者が退院していくのが羨しかったから、広すぎる病院を探索して気を紛らわせたりした。それでも手術の日が来るまでは情けないけど体が震えっぱなしだったし、前日は全然眠れなかった。
 手術当日、緊張しながら手術室に運ばれた。中は衝立で仕切られてるだけで、1番~20番の番号がついてた。他のブースの声も聞こえるから変な感じだったけど、看護師さんに「お薬(麻酔)入りますよ~」って言われて5秒後には意識がなくなってた。
 12時に手術室に入って、目が覚めたのは18時。麻酔でぼーっとしてたけど、2時間もしたら醒めてきて、「痛い」って言えないくらい全身痛かった。のどカラカラなのにスポイトで数滴の水を飲むのがやっとでね。
 右手に持たされた薬のスイッチは、押したら背中に通した管から薬が入って痛みが治まるんだけど、1時間に1回しか投薬されない。それでもどうしても痛いから、薬が出ないのが分かってても何度もスイッチを押してた。
 翌朝目が覚めたら看護師さんに「じゃあ歩きましょう」って言われた。「次の日から皆さん歩く練習するんですよ」って。ホントかよ!
 その次の日にはN先生が来てくれたけど、カートに捕まりながら歩いてる自分を見て「ああ、歩けますね~」って笑ってて、心の中で悪態をついたね……。
 実際、自分は寝てただけで手術の難易度なんか分からなかったんだけど、実は後になって、すごく難しい手術だったって知らされたんだ。
(次号へ続く)
(文・坂本みゆ)