~芥川龍之介没後90年に“河童忌”を復活~「河童忌(芥川龍之介忌)特別展」開催中
7月4日(火)から、田端文士村記念館(田端6-1-2)で、「河童忌特別展」を開催している。8月31日(木)まで。
これは、作家・芥川龍之介の没後90年を記念して開催されるもの。芥川は、生前に好んで河童の絵や小説をかいていたため、近親者や文学仲間が、芥川を偲ぶ会を「河童忌」として開催していた。
館内では、「河童図(複製)」など関連資料が展示され、芥川が大正9年頃から度々描くようになった河童の絵の変遷について紹介。また、小説家・菊池寛らが集った八回忌を、時事寫(しゃ)眞(しん)新報社が取材した写真なども展示され、文士や友人たちの芥川を慕う心情を様々な資料を通して知ることができる。
昭和2年7月24日、芥川龍之介は田端の家で自ら命を絶ち、35歳で生涯を閉じている。翌年の命日、親しい友人や芥川を慕う文士たちは、芥川家からほど近い、会席料理屋「天然自笑軒」で遺族をかこんで偲ぶ会「河童忌」を開催。昭和18年まで毎年続けられ、その模様は文藝春秋社や時事寫眞新報社などが取材している。その後、第二次世界大戦のため一時中断したが、戦後に五十回忌など、数回開催された記録が残っている。なお、7月24日(月)には、河童忌の復活と題し、令孫・芥川耿子氏とともに龍之介の墓所などを巡る「墓所・慈眼寺ガイドツアー」を開催する(参加申込みはすでに終了・この日は休館日のため展示は観覧不可)。
<開催日時> 7月4日(火)~8月31日(木)午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
<休 館 日> 月曜(7月17日を除く)、7月18日(火)・19日(水)、8月15日(火)
<開催場所> 田端文士村記念館・常設展示スペース(田端6-1-2)アクセス:JR京浜東北線・山手線 田端駅北口から徒歩2分
<入 館 料> 無料
<展示の一例> ・「鬼才故芥川龍之介を偲ぶ 文壇巨星の集ひ」(時事寫眞新報社)昭和9年7月26日(第千二百廿二号)
・芥川龍之介「河童」原稿複製
・芥川龍之介「河童図」複製
・雑誌『文藝春秋』芥川龍之介忌(六回忌)昭和7年9月号
(参 考)
<田端文士村記念館について>
芥川龍之介をはじめ田端に暮らし、集った文士や芸術家の功績を通じて、「田端文士芸術家村」という歴史を、後世に継承していくことを目的として平成5年に設立。文士芸術家たちの作品、原稿、書簡等の資料を展示するとともに、講演会や散策会などの催しでその功績や暮らしぶりなどを紹介している。平成27年10月、常設展示スペース『知っておきたい田端文士村』を新設してリニューアルオープンし、「芥川龍之介 田端の家復元模型」(1/30スケール)も設置。同模型を細部にわたって撮影した解説映像の中には、晩年の芥川の実際の姿も見ることができる。
●常設展示スペース
①「田端文士村ゾーン」
主な田端文士芸術家たちをパネルや年表で紹介しているほか、現在企画展示スペースで開催中の作家・近藤富枝氏の追悼記念展にあわせ、近藤氏が田端文士村について語っている映像を紹介。
②「芥川龍之介ゾーン」
1/30スケールの「芥川龍之介 田端の家復元模型」をはじめ、芥川家の家系図、自作年譜をパネルで紹介。
●企画展示スペース
「もっと知りたい田端文士村」をコンセプトとして、秋の企画展や「田端ひととき散歩」のテーマに応じて、年3回展示替えを行っている。現在は、平成28年7月に逝去した作家・近藤富枝氏の追悼記念展「近藤富枝と『田端文士村』~最後の田端人が書いたその作品世界~」を開催しており、近藤氏が著書『田端文士村』執筆の際、実際に使用していた取材ノートなどを展示している(平成29年10月1日(日)まで)。