第5回 一食一会〜ごちそうさまが聞きたくて〜

 子どもの頃、「あんみつ」はおとなのおやつのような気がしていませんでしたか。
 今回ご紹介する、「あんみつの深緑堂」さん。隅田川沿いで、老若男女問わず、様々な地域の方々も足しげく通う、「甘味処 あんみつ屋」さんです。
 1日限定50食。材料は、すべて店主鈴木さんが一人で作るこだわりの詰まったあんみつです。あんみつに真摯に向き合ってきた鈴木さんの作るあんみつは、「すべての材料を手作りにこだわった、『あんみつ専門店』」としてお店を構えました。
 運ばれてきたあんみつを覗き込むと、童心に戻ったようにわくわくします。まるでおもちゃ箱のようなのです。
 まず目に入るのは、太陽のような大きな干しあんずと、3つのまん丸な白玉。白玉は、注文が入ってから茹でる出来たてです。
 その下にあるのは、寒天。プリッと弾力とコリっとした食感が特徴のこの寒天は、3種の天草を混ぜて作るお店オリジナルです。そして食べると、甘味を感じるのですが、これは、海藻の旨味なのだと教えてくれました。この食感と甘味は、ここでしか食べられず、美味しくやみつきになり、遠く通われる方も多いそうです。寒天の味をシンプルに味わいたい方は、ところてんもあるので、ぜひお試しになってみてください。
 そして、こしあん。小豆から一から作るこしあんは、あんみつへの思いを感じる一品です。
 全体に甘味の決め手となる黒蜜は、別添えでついてきます。苦味のある黒蜜を使うことで、ビター感のある、大人な味のあんみつに仕上げているのが「深緑堂」流のあんみつです。わくわくする、大人のあんみつです。
 お店は、3月に内装が変わりました。あんみつの作る過程を間近で見ることができたり、お持ち帰り用に小窓ができたり、お客さんとの距離も一層近づいています。店内はお寺をイメージしており、落ち着き温かみある空間に、ゆっくり時間を過ごしながら、一杯一杯真心のこもったあんみつを味わえる店内になっています。
 場所は、国道6号線。押上駅から向島三丁目交差点に向かい、隅田川方向へ歩いていくと、抹茶の深緑色の暖簾が目印です。 
 (文:土井 思織)

あんみつの深緑堂
東京都墨田区向島5-27-17
TEL:03-6658-5449
営業時間:11:00~18:00(L.O 17:00)
※売り切れの場合もあります。
定休日:月曜日、木曜日
お持ち帰りも可能、詳しくは公式Twitterをご覧下さい
https://twitter.com/shinryokudo