【江戸川区】“落語文化を継承し、地域の賑わいの場へ”「ひらい圓藏亭」開館 15日お披露目式

“落語文化を継承し、地域の賑わいの場へ”「ひらい圓藏亭」開館 15日お披露目式



 高座やテレビなどで絶大な人気を誇り、「落語四天王」の一人として称された昭和の顔、橘家圓藏師匠。江戸川区は晩年を過ごした自宅を整備し、記念館「ひらい圓藏亭(平井3)」として15日から一般公開を始めました。入館無料。
 平井で育った圓藏師匠は、1952年に月の家圓鏡(後の七代目橘家圓藏)に入門。65年に真打に昇進し、三代目月の家圓鏡を襲名しました。テレビやCMなどに出演したことで全国的に有名となり、立川談志らと並んで「落語四天王」と呼ばれました。82年には八代目橘家圓藏を襲名。区内に長年住んでいたことが縁で85年には「江戸川落語会」が始まったほか、87年には「八代目橘家圓藏を励ます会(会長:小久保晴行)」が発足するなど地元から愛され、落語文化の発展に寄与された功績から2012年に「江戸川区文化賞」を受賞しました。
 15年に81歳で亡くなり、空き家となっていた自宅を翌年、区は落語文化の継承を目的に購入。師匠の功績を多くの方に広く知ってもらおうと、公開に向けて準備を進めてきました。
 「ひらい圓藏亭」は、圓藏師匠の魅力と落語の世界を存分に楽しむことができる旧邸宅。築15年の鉄骨2階建て、延べ床面積約150㎡の住まいを、師匠を偲ぶ約100点もの品々とともに公開しています。名称は生涯を平井で過ごし、地元をこよなく愛す「ひらいの師匠」と呼ばれたことにちなんで名付けられました。1階の応接室には、圓藏師匠の高座の映像や音源を流すライブラリスペース、和室には落語会が開けるように高座を設置。2階和室には、トレードマークの黒縁眼鏡やネタ帳、襲名披露で身に付けた家紋入りの着物など貴重な品々が並べられ、書斎には生い立ちや功績などの足跡がパネルで紹介されています。



 この日午前11時、一般公開を前に「ひらい圓藏亭」正面にある区立平井公園(平井3)では、一門の落語家や地元町会、励ます会、友人ら約90名を招いて「お披露目会」が開かれました。初めに、多田正見(ただまさみ)江戸川区長が書いた「ひらい圓藏亭」の銘板が披露されると、後に建物正面入り口の門に取り付けられました。挨拶で登壇した小松川平井地区連合町会長の谷川貞夫さんは、「顔を見るといつも気軽に話しかけてくれた」と師匠を懐かしみました。また約30年会長を務めた元圓藏一門を励ます会の小久保晴行さんは、「平井の一つの財産となった」と笑みを浮かべました。友人代表として登壇した島村宜伸元衆議院議員は、戦時中、学童疎開の経験と共にしたことを語り、「素晴らしい友人を持てたことを幸せに思う。在りし日の活躍を思い浮かべ、賑わいの場となることを期待している」と話しました。



 同公園には、開館を記念して橘家の家紋である三つ組橘にちなんでタチバナの木を植樹したほか、師匠の功績を記した縦約90cm、横約120cmの記念碑を建立。師匠の出囃子であった「虎退治」に合わせ、参加者が幕に繋がれたロープを一斉に引くと記念碑がお目見えし、会場からは拍手が沸き起こりました。その後、正午過ぎから一門の橘家圓十郎師匠による高座が一階の和室で開かれ、会場は参加者の熱気と笑いに包まれました。また、午後1時からは一般公開を開始。江戸川落語研究会などアマチュア落語家による開館記念落語会が催されます。
 同館の高梨圭一(たかなしけいいち)館長は、「圓藏師匠の功績を通じ、地域と一緒になって落語文化を発信していきたいです。気軽に立ち寄ってもらえたら、きっと師匠も喜ぶと思います」と話しました。開館日は、木曜から日曜日の週4日で、午前10時から午後4時まで。