収蔵資料展「描かれた江戸時代~地域を伝える情報力~」中川船番所資料館で開催中(5月28日まで)
テレビもネットもない江戸時代の情報力に目を見張る♪
中川船番所資料館(大島 9)で、同館に収蔵されている「江戸名所図会」などの資料を公開する収蔵資料展「描かれた江戸時代~地域を伝える情報力~」が 5 月 28 日まで開かれています(月曜日は休館)。同展では江戸とその周辺の歴史、名所、名物などの地域情報がわかる資料合計 50 点を 4 つのコーナーに分けて展示しており、現在のようにテレビやインターネットがない時代に、江戸の人々がどう情報を得ていたのかをうかがい知ることができます。
「奥川筋海路図」は関東地方の水体系を地図にしたもので、船での搬送に役立つ地図となっています。この図を見ると、江戸時代は川が地方と地方を結びつける大きな役割を果たしていたことがわかります。ほかにも持ち運びができるように折りたたんで使う地図、記号を使って重要な箇所をわかりやすく表示している地図もあり、使用する人の利便性を考えて地図が作られていたことが見て取れます。
文字情報がある地誌資料では、地図だけではわからない深い情報が紹介されています。年中行事、習慣、伝説など地域の人々の生活と深くつながりがある場面が文字とともに描かれており、地方にはない、江戸ならではの情報を読み取ることができます。
関連ページ
・中川船番所資料館(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)
説明
【展示資料抜粋】
●奥川筋海路図:関東地方の水体系、奥川筋の図。川の名や沼も描かれ、沿岸の河岸、関所、陸上の街道・宿場、「江戸ヨリ川筋之里数」も記載し、船での搬送に役立つ地図である。関東の在郷商人・買次商人などが利用したのでは、とうかがえる。
●江戸名所図会:この書物は神田の町名主を代々勤めてきた斎藤家が 3 代にわたり編纂してきた大作。和とじの本で20冊にものぼり、江戸とその周辺地域を7部に分けてその地域の歴史・行事・習慣などを織り交ぜながらまとめている。選ばれた場所も、寺社や庭園、史跡といったいわゆる観光名所にとどまらず、神話伝承の想像図、何件も立ち並ぶ大店や土蔵の家並み、祭礼や節句といった年中行事の場面まで描いている。
●絵本江戸土産:同タイトルの書物はいくつかあるが、本展示では歌川広重によって10冊に及ぶシリーズとして刊行され、絵で大都市江戸を紹介する試みとして描かれた。
【中川船番所資料館】平成 15 年 3 月に開館した同館は、実際に江戸時代の船番所(川の関所)があった場所から 50 m程離れた場所に位置している。3 階は、中川船番所の再現ジオラマを設置し、船番所の役割や水運の歴史を紹介しており、2 階では、江東区の郷土の歴史・文化を紹介・展示している。1 階では、釣具などを展示。館までのアクセスは都営新宿線東大島駅から徒歩 5 分。