連載記事「神社仏閣巡りの旅 〜トライベルライター河越理恵の旅行手記〜」第56回



 今回は、幕末の思想家吉田松陰をお祀りしている松陰神社です。松陰神社は世田谷にもありますが、今回ご紹介するのは松蔭が生まれ育った山口県萩市にある松陰神社。初めて訪れたのは今から四十年以上前の家族旅行で、私が初めて自分専用の御朱印帳を買ってもらったのは、この旅行の時なのでとても思い出深い場所でもあり、実際よく覚えています。今回ご縁があり訪れた山口県でぜひ行ってみたいと思い立ち寄った松陰神社は、あの頃とは全く見える景色が違っていました。が、確かあの時も歴史の勉強になるからと入った吉田松陰歴史館(蝋人形の館)は、全く変わらず不気味なまま。変わらない景色は親近感が湧きます。一方、当時はまだ無かった松陰の遺墨や遺品などが展示されている至誠館は見どころ満載。綺麗に整備された神社内は、吉田松陰という人物は一体どんな方だったのかと一人妄想しながら過ごすには十分すぎる空間です。松陰が主催した私塾「松下村塾」は、今年設立一八〇年という節目の年。幕末に建てられた塾舎は境内に現存し、吉田松陰幽囚ノ旧宅とともに「明治日本の産業革命遺産」として二〇一五年(平成二十九年)、世界遺産にも登録されています。

今回一番印象に残ったのは、本殿の横にあった大きな絵馬。これは毎年近くの学生さんが松陰とその年の干支と同じ生まれの教え子を書いています。今年は寅年で、描かれているのは野村靖(享年六十八歳)。並んだ二人のおじいちゃんと寅の絵と思いきや、松陰は享年二九歳。一般的な吉田松陰の肖像画から、勝手に年配の男性のイメージを持っていましたが、その若さに改めて驚きました。


松陰神社

山口県萩市椿東一五三七
JR山陰本線東萩駅から徒歩十五分

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