連載記事「神社仏閣巡りの旅 〜トライベルライター河越理恵の旅行手記〜」第55回



 今回ちょっと趣向を変えてご紹介するのは、京都府左京区にあります百万遍知恩寺。同じ浄土宗の総本山知恩院と名前が似ていますが、そこではありません。私は、二十年以上前から十回ほど訪れている大好きすぎるお寺です。ただその目的は、参拝ではなく、毎月十五日に開催されている「百万遍さんの手づくり市」というフリーマーケット。素人さんが創った手づくりの作品を発表する場として一九八七年から始まりました。歴史のある民藝品から祖母が編んでくれたセーターなど、とにかく人の手で作られたモノが大好きな私にとってここは聖地です。通っているうちに作家さんたちとも親しくなり今では友人としてお付き合いしている方もいらっしゃいます。この手づくり市で販売できるものは、ズバリ手づくり品限定。出店者のカテゴリとしては、ガラス工芸、陶芸、竹細工、和モノ・小物、洋モノ・小物、染織、バッグ、がま口、ビーズアクセサリー、お菓子、パン、漬物・佃煮、石鹸、たわし、ハンコ、葉書、お花の苗、などなどです。

 ちょうど今月の十五日、仕事で関西にいたので、隙間時間にちょっと立ち寄ってきました。数年ぶりに訪れた聖地は、まだまだ活気を取り戻したとは言えない感じではありましたが、出店者さんもお客さんもみんな笑顔で、私もとてもいい気持ちでした。今回は、初めて出会った、可愛いまち針を、自分の分と同じく手づくりが好きな友人へのお土産に、楽しく選んで買ってきました。

 コロナも含め、色々と複雑な毎日ですが、早く青空の下みんなが笑顔でいられる日常が戻ってくるように、お堂でも手を合わせてきました。

百万遍知恩寺

京都市左京区田中門前町一〇三
JR京都駅より市バス206系統・17系統 百万遍下車