連載記事「神社仏閣巡りの旅 〜トライベルライター河越梨江の旅行手記〜」第82回

今回ご紹介するのは、関東総鎮護の霊山として二千年以上前から人々の願いに寄り添い続けてきた大山阿夫利神社です。神奈川県伊勢原市にあるこの神社の美しく幻想的な山々が織りなすホームページに一瞬で魅了され、熱中症警戒アラートが出された7月下旬の早朝、新宿からロマンスカーに乗って参拝してきました。私たちだけだったらどうしようという不安の中、バスもケーブルカーも満員。みなさんガッツリ登山の装いで、自分の軽い気持ち軽い格好を猛省。到着した下社ではすでに下山してくる猛者たちの姿もありました。本来登山など大嫌いなのでいつもの私なら下社だけで失礼するところですが、なぜか迷いなく本社への参拝(案内には登山九〇分・下山六〇分)に挑み、登山者用のお守りを握り締め、ほぼ休憩というくらいのゆっくりペースで二時間登った所で山頂まではまだ半分だとわかり、そのタイミングで雷が鳴り出したので、本社参拝を断念し下山(一時間)となりました。

実際に参拝した阿夫利神社は、ノスタルジックな参道や、過酷な山登りで見せつけられる自分自身の内面と、圧倒的な大自然から感じる神の存在に出会える瞬間がつくる壮大な癒し効果が私たちを魅了します。これに美しい富士山までついてくるとなると、江戸の人たちにも大人気だったことやそれが現在まで粛々と続いていることも納得です。下山してくる人たちに「こんばんは」と言ってしまうくらい過酷な登山でしたが、全身筋肉痛も含め大変気持ちのいい体験をさせていただきました。

大山阿夫利神社(下社)

神奈川県伊勢原市大山三五五

■交通

小田急線伊勢原駅からバスで約25分
そこから参道を徒歩15分で大山ケーブル(山麓駅)
ケーブルカーで阿夫利神社(山上駅)下車