秋の陽ざしに包まれたJR小岩駅前。行き交う人々の姿の奥に、かつての賑わいと変化の歴史が静かに息づいています。今回は、江戸川区南小岩七丁目にある小岩駅の歩みを振り返ってみましょう。
第六回 小岩駅 ―
戦火を逃れ、時代を映す下町の玄関口
小岩駅が誕生したのは、明治時代の終わり頃。総武線の開通によって東京と千葉を結ぶ重要な駅として開業しました。駅の南側には商店が立ち並び、昭和初期には住宅地としての整備も進み、次第に「生活の街」として発展していきます。
そして、東京大空襲が猛威を振るった太平洋戦争中、小岩一帯は奇跡的に戦火を免れました。焼け野原と化した都心とは対照的に、家々や商店が残ったことで、戦後は多くの人々がこの地に移り住みます。闇市が立ち、露店の灯がともり、映画館や飲食店が次々と軒を連ねました。昭和30年代、小岩駅周辺は江戸川区内で最も活気のある繁華街となり、「東の下町の中心」として知られるほどでした。
しかし時は流れ、平成から令和へ。老朽化した駅前商店街や雑居ビルの建て替えが進み、2020年以降は大規模な再開発が本格化。駅前には高層マンションや新しい商業施設が立ち並び、かつての雑多な活気とは違う、洗練された街並みへと姿を変えています。
それでも、駅のホームに立ち、風に乗って聞こえる商店街のざわめきに耳を澄ませば、昭和の匂いがどこかに残っている気がします。
小岩駅は今も変わらず、時代の移ろいを見つめ続ける「下町の玄関口」なのです。取材・大島克之
小岩駅
江戸川区南小岩7丁目24-15







