第3回 竹葉所長のガン闘病記 ~がんと闘う人へ~

 これは瑞江店の所長である自分・竹葉俊雄が、肺がんと闘った記録である。
 抗がん剤の投与中は、食事がおいしくないのが一番こたえた。ご飯が苦く感じて、食べようとしても全然箸が進まない。病院は21時に消灯するんだけどお腹は空いてるから、1階のローソンに通うようになった。いろんなものを買って、何か食べられるものはないか試してみた。そしたら「コカコーラ」と「チョコレート」がおいしくて!炭酸飲料なんて年に1回くらいしか飲まないし、甘い物も普段は食べないのに、めちゃくちゃおいしかったんだ。これはいいぞって、いちご大福とかバナナとか「今日は何が食べられるかな」って楽しみが出来た。先生に相談したら「食べられるものがあるなら食べて下さい」ってお許しも出たから、甘い物を食べまくったね。
 病室では携帯は見ないようにしてテレビばっかり見てた。朝は高校野球、昼間は治療を受けて、夕方戻ってきたらちばテレビで千葉ロッテマリーンズの試合。病院が千葉県だったから毎日やってたんだよ。それで夜になったらリオ五輪が始まって……。普通に暮らしてたらこんなにスポーツを見ることはなかっただろうね。
 入院3週間めは体の負担を考えて「抗がん剤はお休みします」って言われて、外出許可が出たんで週末にお店に帰った。でも日曜には病院。あっという間だった。
 戻ったら先生から薬の効果が出ていないって聞かされた。あと2週投与して効果が現れないと手術を早めるかもしれないって。初めて「手術」ってワードが出てきて、体を傷つけるんだって恐怖心を感じた。だけど次の検査でこれまでのレントゲン写真を並べてもらったら、最初7㎝あった腫瘍が5㎝くらいになってた。ずっと「早く手術してくれ」と思ってたけど、むやみに手術したらがん細胞が広がる可能性があるからできないんだ。このとき、初めて投薬治療の意味を知った。
 手術するには副作用が治まるまで1か月空けないといけなくて、病院ではすることがないからって、退院させられた。ビタミン剤しか持たされなくて「こんなんで大丈夫か?」って首かしげながら帰って来たよ。
 「がん細胞が壊死してるからこれなら手術ができます。10月17日に、手術をします」。
 いよいよ手術日程が決まって、さすがに緊張が走った。(次号へ続く)
(文・坂本みゆ)