第2回 街の新聞販売所長に聞く


瑞江SC 竹葉俊雄所長

 都営新宿線の瑞江駅最寄りに瑞江SCがあります。
 今回はこちらの竹葉俊雄所長から、完全復活の連絡が入り、お話を聞きにやってきました。

 瑞江店の所長としては2年半ですが、新聞業界歴15年の竹葉所長。かつては5階建のマンションを駆け上がって配達した体力自慢でしたが、昨年の6月から今年の1月いっぱい、闘病生活をされていたんです。
 最初の知らせは6月でした。半年ごとの健康診断で再検査の通知と紹介状が届き、7月末に再検査を受け、翌月8月6日に結果を聞きに行って「肺がん ステージ2後期」と告知を受けたのです。
 頭がまっ白になり、「がん=死」がよぎりました。主治医は早めの治療開始をと言いますが、病院の検査の予約が取れず、主治医がご自身の本来所属する千葉県鴨川市の病院に2日後の予約を取ってくれて、所長は場所も知らない鴨川市の病院に入院が決まりました。
 8月8日、従業員に「必ず治して帰ってくるから」と言ったものの、病院に向かう車内では涙が止まらず、「帰れるかな」と不安しかなかったそうです。
 入院中は携帯からの情報は不安の素なので、従業員とのメール以外には見ないようにして、テレビを見て過しました。当時はリオ五輪真っ盛り。高校野球やプロ野球を見るのもいい気晴らしになりました。
 抗がん剤の効き目は個人差がありますが、幸い所長には有効で、抗がん剤と放射線治療の後に見せてもらったレントゲンでは腫瘍が小さくなっていて、「俺、助かるかも」と希望の光が差し始めたのです。
 10月17日、手術の日。胸から背中にかけてL字に切開する大手術でした。初めての手術に逃げ出したくなりましたが、持ち前の潔さで恐怖を克服し、なんと手術翌日から自力歩行を始めます。さすがの所長も「主治医がスパルタだった」と苦笑いでした。
 そんな所長が「家に帰るまで恐くて手術痕を見なかった」というから意外です。縫合されたホッチキス状の針を抜いてみたらなんと75針。デスマッチで有名なプロレスラーの気分になったそうです。
 そして10月26日、術後9日で所長は退院されました。
 入院生活で筋肉が固まり、階段の上り下りも大変で、術後1カ月は痛みと闘う毎日でした。
 そして今年の1月4日から1週間の入院と、1月25日に最後の抗がん剤投与を受けて、治療は概ね完了。元々「復帰」が目標じゃなく「完全復活」のために入院したので、所長は「手術翌日から病人じゃなくケガ人」という気持ちだそうです。
 仕事面では「自分がやらなきゃ」じゃなく「みんな手伝ってよ」と協力を仰ぐようになりました。
 でも安静第一なのに、週5日の配達は欠かしません。配達で町やお客様の変化に気付くことができますし、お客様から「サンケイさん」と気軽に声をかけて頂けるのは嬉しいことです。
 今は「治療に迷ってる人や長引いている人を励ましたい。みんな治るとは言えないけど、患者さんと話す機会があれば発信する場を持ちたい」と意欲的です。
 「がん」がいかに身近で誰にでも起こりうるか。保険屋さん任せてたまたま入っていた「がん保険」に助けられたことなどを語る機会を作って行きたいと考えています。
 そして、お世話になった先輩所長の方々への感謝を語られました。最初に病気になったとを伝えたときや、お見舞いに来られた際に「お前は大丈夫だ」と繰り返し言ってくれたことが大きな力になったそうです。
 所長は、今後発症するリスクは他の皆さんと同じ。これからは患者さんを励ます側になって「治るよ」って勇気を届けたいと力強く笑っていました。

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産経新聞 瑞江専売所
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