第4回 街の新聞販売所長に聞く

両国サービスセンター 本所吾妻橋サービスセンター 松橋敏彦 所長

 都営大江戸線・蔵前駅から厩橋を渡った隅田川のほど近く、清澄通りに面したところに、両国・本所吾妻橋サービスセンターがあります。
 店舗の屋上からは、かの有名な「隅田川の花火」が見えるそうで、花火当日には清澄通りに見物客が溢れ、大変なにぎわいになるとのことでした。
 今回は、平成28年の5月に所長に就任され、初めてご自身のお店を持って1年半になる松橋所長にお話を伺いました。
 所長が新聞業界に入ったきっかけは、他紙の新聞奨学生として働いたことです。予備校に1年、その後にお芝居の専門学校に2年通い、合計3年を、奨学生としてすごしました。学校の仲間たちと芝居の道へ、とも考えましたが、長く務めるうちに新聞販売店での仕事を網羅して、いつのまにかこちらが本業になっていました。

 ですが、実は一度店を離れたことがありました。その間に電話による市場調査のお仕事をしてみて、顔の見えない相手に対してマニュアルを話すだけ、という仕事は自分に合わないと思い、新聞販売店の仕事に戻ってきました。それで改めて、お客さんを目の前にして話すことができるこの仕事はいい、と思ったそうです。
 長く勤務しているうちに周りから頼られる存在になり、「何でも屋」のような状態だった所長。これまでにも何度か自分のお店を持つチャンスはあったそうですが、寸でのところで話がなくなること数回。他紙から独立のお誘いもありましたが、「半年間の研修してもらい、ウチのやり方を覚えてもらいます」と言われました。そして同じ頃に産経新聞の担当者からも独立の話をされて、以前から「産経新聞は所長のやり方や個性を尊重して、任せてもらえる」という印象があったので産経新聞での独立を決意されたのです。
 現在、従業員はアルバイトさんと社員さんを合わせて12名が所属。取材の数日後には新たに一人増える予定とのことでしたが、2つのサービスセンターを名乗っているということは、配達区域が広くお客様の数も多いので、これからも随時面接はされるとのことでした。
 毎日それぞれ配達や集金業務があるので、従業員さんたちと頻繁に交流を持つのは難しいですが、月に1回食事に行ったり、好きな刑事ドラマの話で盛り上がることもあるそうです。
 所長は焦らず自分らしい店を、3年くらいかけて作って行きたいと考えています。そのために今は従業員さんの話を良く聞いて、お互いのやり方をすり合わせて行くところから始めています。従業員さんに長く働いていただくには人間関係が円滑であることが最重要課題ですから、それぞれの人のいい部分は自分も真似をしたいと考えています。
 ご自身が新聞奨学生の出身ですから、いずれ奨学生の受け入れも……と思いつつ、お店の基礎固めをしている現在はまだその段階ではないと残念な顔も見られました。
 昔から「人を嫌いになることがない性格」だったそうで、話していると、とても物腰が和らかく感じました。
「産経を読みたい」と言ってくれるお客様を大事に、従業員たちと地道にやっていくだけですと、控えめながらも徐々に自力をつけて行っている様子がうかがえました。
(取材・坂本みゆ)

店舗情報/両国・本所吾妻橋サービスセンター
130-0004 墨田区本所1-18-2
TEL 03-3623-4239